僕と先輩と、黄昏で さん




「君はどうして、そんなに変なのかな?」

「……恋と間違えたんだよ」


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「あなたは道を歩いています!」

「何?」

「道は前方で分岐しており、一方は森へ、もう一方は林へ続いています。さて、あなたはどちらに行きますか?」

「……座る」

「駄目! それは答えにない!」


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「この前、見ちゃったんだよね」

「うん?」

「君が女の子と並んで歩いているところ」

「はあ」

「仲良さげに、手なんか繋いじゃってさ。別れ際には、電車のドア越しに見つめ合っちゃって」

「……」

「何なのよもう! 私というものがありながら! きぃ!」

「……」

「ってなセリフを言ってみたいので、まず君は女友達を作りなさい」

「……」

「何ならメル友でもいいよ?」

「……」

「あれ?」


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「先輩、また、煙草くさい」

「え?! そうかなぁ…」

「僕、先輩が煙草吸ってるとこ見たことない」

「私も、君が煙草を吸ってるとこ、見たことないよ」

「吸いませんから」

「そういうことよ」


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「ねえ、告白してみて」

「は? 何? なぜ?」

「いいから。思いっきり甘いやつをお願い」

「……貴女のことを思う気持ちが多すぎて、この胸から溢れ出ています。なんとかしてください。溢れ出るこの感情を、よく晴れた夏の日、少年時代に公園の水道に親指を押しつけたみたく、霧状に噴出させて、それで出来る虹が何色なのか、確かめたいのです。貴女となら、確かめることが出来ると思う。確かめさせて、くれませんか?」

「くあー。あまーい」

「先輩、何かあった?」

「キスしよう」

「しませんて」

「じゃあ婚約しよう」

「何があったの?」


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「ねえ、罵倒してみて」

「何なんですか? さっきから」

「いいから。私のこと、思いっきり罵ってみて」

「いやです」

「えー。罵倒してよー」

「いやです」


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