携帯電話

俺は今超高層ビルの屋上にいる。
下を見下ろすと無数の明かりが見える。
空を見上げれば無数の星とヒトツの大きな満月。
いつも見るより大きく感じた。
ここから一歩踏み出せば楽になれる。
俺は今までの人生を振り返った。
忘れてるだけで思い出せないこと。
思い出そうとした。
だがなかなか思い出せない。
思い出せることは嘘をついている自分だけ。
嘘をついては自分を守っている俺。
人に嘘しか言えない俺。
自分にも嘘をつき続いてきた俺の心は何をしても動じない。
そして俺は靴を脱いだ。
靴下も脱いだ。
なんとなく着ていた服も脱ぎ捨て全裸になった。
今までにない解放感に襲われ全身に鳥肌が立った。
吹いている風が身にしみた。
携帯を出した。
ポケットに戻した。
さて、そろそろ跳んでみようか。
俺は両足をそろえた。
そのときふと思い出した。
小学生の時スポーツテストでやった立ち幅跳び。
走り幅跳びの方がいいなと思いながら跳んでいたっけ。
子供の頃の心を思い出した。
と、そのとき、ルルルと脱ぎ捨てたズボンの中から携帯の着信音がなった。
どうやら誰かから電話がかかってきているらしい。
誰だろう。
この電話は今の自分を変えるだろうか。
ズボンを取ろうとしたとき、突風が俺の体に吹きつけた。
その突風にあおられ俺は空中に投げ出されてしまった。
この突風は神風だろうか。
それとも




最終兵器彼女について俺が言えること

シュウちゃんは
フェラされて泣く。





一番の楽しみ

私は最近、寝るのが一番の楽しみになりました。





あなたが黙る
気付かないふり
煙草の火を消す
フキゲンのふり
煩く立ち上がる
聞こえないふり

今閉じられた扉を
もっと音高く閉じ直し
俺の勝ち

もう開かない
さよならのふり





ずーっと一緒にいたい女

いいか?
ずっと一緒にいたい女がいるのなら、
そいつに
好きだとか
愛してるとか
言っちゃいけない。
寝てもいけないし、
もちろん襲ってもいけない。

そんなことするから
別れなきゃならなくなる。
そんなことするから
後でがっかりするんだ。





カサブタ

彼は
私の手首の切り傷を
そのカサブタを、
まるで愛撫でもするかのように
その傷から何かを読み取るように
何度も撫でた。

私は、
それが嬉しくて
泣いた。




騎乗位

彼女は
騎乗位の体勢のまま
俺に覆い被さり、
腰を振りながら
ゆっくりと
俺の首に絡めた指に
力を込めた。

俺は、
それが嬉しくて
泣いた。




武器

剣を握らなければ おまえを守れない
剣を握ったままでは おまえを抱き締められない




防具

鎧を着なければ おまえの言葉に耐えられない
鎧を着たままでは おまえの温もりが感じられない




ごめん

あー
ごめんやけどさ、
おまえ
ちょっと
殺したいわ。





女の子

女の子が
きれいになりたい。って思ってるのは
いいことじゃん。
方法は
人それぞれだと思う。

きれいになろうとする
女の子の気持ちは
大事でしょ。




炎色反応

もしあんたを燃やしたら、
何色の炎が上がるかな。

俺はきっと青だから、
あんたはきっと赤だろうな。





あーあ

いつだって、お前が望む男になれたらいいって思うよ。






口笛

あの娘の恋人がいなくなった。
俺は下を向いて、彼女は慣れない口笛を吹いた。

彼女がいなくなった。
俺は下を向くのを止めたけど、口笛を吹く気にもならなかった。

なんか悔しかったから。





カサブタ

腕に貼り付く
無機質なカサブタ。
これも体の一部だとは思えない。
カサブタからは
鼓動も体温も感じられない。
これは生きているんだろうか?

細長いカサブタ。
カッターは意外と刃が厚いから
痕が残る。
それともこれは
跡と呼ぶべきだろうか。

カサブタの下からは
新しい皮膚。
日焼けしてない白いスジ。
そうだ、ワタシは色白なんだった。
茶色く焼けた肌に
一本の白いスジ。




カサブタ

朝、目が醒めると
昨日の傷にカサブタが貼り付いていた。
それを確認するのが
なんだか嬉しかった。
授業中にそっと
腕のカサブタを確かめる。
万引きのような背徳感と優越感。
ちら、と隣りの席の子を見やり
「ワタシはアナタとは違う」と思う。





カサブタ

もしワタシが病んでいるのだとしても
まともなアナタよりはマシよ。