知らない男

ちよつと見てみろ この俺を
何んにも知らねんだ 俺は
ぼーつと 働らくやからども
おまえ こういう男を笑えるか

今日は おまえは何思う
息子の顔ちらり
そういうやからに俺はひとつ言う
おまえはただいま幸せかい




寄生虫

「体の調子は何うなんだ?」
「寄生虫にやられてる」
「お前に女は必要か?」
「ペットのようなら飼うてもよい」
「車に乗つて出かけやう」
「俺はふとんで寝ていやう」
「それではテレビを見ませうか?」
「悲しすぎて見てられぬ」
「お前は何が欲しいのだ?」
「夕陽に浮かぶ富士の山」
「お前はなぜに生きている?」
「小さき花を見るために 小さき花を見るために」

歌を誰か知らないか?
つまらぬときに口ずさむ、
やさしい歌を知らないか?
金のために何をする?
女のために何をする?
人のために何をする?
それでお前は何処へ行く?
それで俺は何処へ行く?

どうだ貴様もくらさぬか?
俺と一緒に寝てくらそう。
似たもの同士で寝てみよう
似たもの同士で寝てみよう




アグリアス

人の夢と書いて、
「儚い(はかない)」と読む。
もの悲しいです。

そして
儚いものは
たいてい
美しい。




オナニー男

悩んだら
オナニーでもしとけ。
「どうでもいいや」って
気になるから。




駄目人間とバームクーヘン

俺はもう
駄目人間でいいさ。
背負うものは
少ないほうがいいさ。
俺は楽しいぜ。
あんたはどうだい。
ベイベー。

まあ、なんだ。
バームクーヘンでも食べよう。




朝勃ち男

前々から疑問に思ってることがある。

午前中
学校で
寝て
起きると
朝勃ちしてる。

不思議だ。




月あかりの下

深夜、
煙を逃がすために
窓を開けると、
月が
はっとするくらい明るくて。

俺は
こりゃすげえ
と思って、
友達にメールを打った。

ただ
打っただけで
送れやしなかった。





ちょっと襲われたからって
文句言うなって。

悪いのは、
おまえの顔
その他諸々。





すてごま

あの娘に俺が何を
やったのかなんて、
覚えてるはずがないだろ。
俺はやってない。

なにかきっかけさえあれば
次は俺の順番だ。
今度こそはやってみせる。
やってやってやりまくるんだ。

君、ちょっと逝ってくれないか
すてごまになってくれないか。
いざこざに巻き込まれて
泣いてくれないか。




おまえあいつと付き合えよ

メールで彼女と別れた理由を訊くと
「あいつセックスばっかやから」
と答えた。

そして
「なんかこのままも気まずいから
 おまえあいつと付き合えよ」
と。

ふざけんな。

あやうく
携帯を壊すところだった。
CD棚は
壊れた。





Days

いつもと変わらない日々だった
飯食って学校行って
遊んで恋して
普通の日々だった
いつもの坂道をのぼり
さがってる途中
空をみつめて
落ち着く途中
消えない思い出みつけて
消えない記憶うまれて
そんなこんなで
もう駄目かもしれない




MEN

やっぱ男どーしっていいな




WOMEN

たとえば、
思いがけなく崖から落ちるとき
俺には
叫ぶべき女の名がない。

たとえば、
冬の海辺に立ったとき。
俺には
叫ぶべき女の名がない。

たとえば、
ベッドの上で高熱にうなされているとき。
俺には
寝言に呟くべき女の名がない。

たとえば、
皆で酒を呑んでいるとき。
俺には
惚気るべき女の名がない。

たとえば、
ジーパン刑事みたいに腹を撃ち抜かれ
死の淵にあるとき。
俺には
最後に思い浮かべるべき女の顔がない。




可哀想な女

と、いうようなことを
ある女と話したら
彼女は
俺のことを
可哀想な人だと言った。

だけど
可哀想なのは
俺の気も知らない
その女だった。




違う

俺は
寂しくなんかない。

俺は
寂しくなんかない。

俺は






SHE STEADY CHINIESE

電車の中
隣りの女が
中国語を勉強していた。

彼女は
膝の上に置いたノートに
日中辞書を見ながら
なにやら書き込んでいた。

俺は
どんなことを書いてるんだろうと
中国語も判らないのに
そのノートを覗き込んだが、
字が汚くて
読めなかった。

外見的には
小さい綺麗な字を
几帳面に配置を気にしながら書きそうな
そんな女だったのだが、
ありゃ読めたもんじゃなかった。

あるいはこの女は
本気で中国語を勉強しているのか。

どちらにせよ、
好印象。
少しだけ、
気分が解れた。





無題

彼女と別れた今日の日も いつか思い出になるだろう
いずれ冬が過ぎれぬば 春にもなろうことでしょう
痩せた大地も来年は 肥えた土へと変わるだろう
見られなかった花までも そこにはきっと咲くだろう
誰もそれには気付かない 誰もそれには気付かない

しばらくすれば梅雨になり アジサイなども咲くだろう
一番肥えたその土は 色の違うの咲かすだろう
誰もそれには気づかない 誰もそれには気付かない

いずれ時が過ぎたなら 土は大樹を生やすだろう
なぜそんなに育つのか 不思議だけれど調べない
誰もそれには気付かない 誰もそれには気付かない

肥えた大地のその下で 今でも彼女は眠ってる
誰もそれには気付かない 誰もそれには気付かない