タバコの辞め方

必要なものは
女が一人。

理想としては
君が惚れてる女。
そうでない場合は
惚れてもらう。

準備さえ整えば、
あとは簡単な話。
君と彼女が話をしてるときに
彼女が
「○○(君の名前)なんか口くさない?」
とか、
まあそんな感じのことを言えば
それで任務完了です。

応用技術として、
キスした後に
「にがーい・・・」
とか
回し飲みしたときに
「うわ、にがッ」
とか
その場に合わせての臨機応変な対応が求められる。

大抵の場合、
君はタバコを辞めようと考えるだろう。
そして実際に
二週間ほどは禁煙するだろう。

二週間もすりゃ
またちょくちょく吸い出すようになるかもしれないが
というか、
たぶんまた吸い出すだろうが
そんなこと
まったく
俺の知ったこっちゃないし
興味もない。




苦虫

帰宅途中に
電車で
中学校の同級生と
遭遇してしまった。

俺は
気付かずに
普通にしてたんだけど、
目が合ったとき、
あいつが
露骨に「うわっ」て顔を
具体的には
眉をひそめてじっと
俺の顔を観察したかと思うと
瞳を僅かに見開いたから、
俺も不審に思って
なんとか思い出そうとして
二駅通過してから
名前を思い出した。

あのとき、
たぶん俺は
すごく苦い顔をしてただろうと思う。
それこそ
苦虫を噛み潰したような。




オナニー

世界中の女に
俺のことを考えながら
オナニーしてほしい。

世の中に一人でもいいから
俺のことを思い出して
オナニーしてほしい。




オナニー

あんたに
今晩
俺のことを考えながらオナニーしてほしい

お願い




オナニー

誰かとのセックスを妄想しながらのオナニー 罪は軽い
誰かとのセックスを妄想しながらのセックス 罪は重い




誘惑

誘惑したことがないから誘惑の仕方がわからないんだよ。
ま、完全な経験不足ですな。
女を誘惑できるくらい余裕を持った男になりな。
ま、俺には無理だけど。




ラブホ

とても静かな夜だった。
初めて入ったラブホテルで
「うるさいぐらい静かだね」
君がそう表現したのが
僕には不思議だったけど。

僕は後悔していた。
一人で勝手に調子に乗って。
たぶん君は明日
親父さんに怒られるだろうな。
そんな気苦労も。

「ごめんなぁ」
天井を眺めたまま かすれた低い声で言った。
腕枕で眠る君に。
実は、腕、すげえ痺れてたんだ。血ぃとか止まって。
おまえのためなら腕の一本や二本、とか考えて
一人で笑って。

耳鳴りがした
気持ちがキンとした。

それを溶かしたのは
君の息吹だった。

吸って吐く呼吸音。
ただそれだけのことが
僕の心を和ませた。