中学生日記

話をしたこともなくて
机を並べた隣に座っている
ただそれだけの関係なわけで

君は僕のことは何も知らなくて
僕も君のことは何も知らなくて
だからこそ知りたいと思うわけで

でも話し掛けてみようと思ったところで
うまく話せるか心配で
出かけた言葉を頭の中で
拾い集めるだけなわけで

そんなわけで
そんなわけで

今日も下校の時間が来て
君は僕にさよならは言わないで
僕も君にさよならは言わないで
僕はすれ違って髪の香りを感じるだけなわけで

でも明日こそ明日こそ
君におはようを言ってみせるわけで

そんなわけで
そんなわけで

さよなら、君
また、明日





愛してる

本気で惚れた女がいて。
彼女に会う度、
「好きだ」
「愛してる」
と、
何度も繰り返した。

あるとき
彼女が言った。
「あなた、
 いつも愛してる、愛してるって
 そんなんじゃ私、
 あなたの本当の気持ちが
 分からないわ。
 ねえ、
 本当の気持ちを
 聞かせて頂戴」

俺は
黙ってた。
愛してるという感情を
「愛してる」以外に
なんて言えばいいのか分からなかった。

結局、
それが原因で
彼女との仲は自然消滅した。

俺はあのとき
なんて言えばよかったのか
分からなかった。

そして、
未だに分からないままだ。





痛い話

今まで
好きになった人に
好きになってもらったことがない。





秒針

時間っていうのは残酷なもので
彼女をどんどん魅力的にしていく。




心模様

明日会えたらまた好きになるかもしれない
明日会えなかったら心変わりするかもしれない






俺は少し暗い男になったかもな

ごめんな ごめん
あの頃は あれしか思いつかなかった
君を諦めてから
俺は少し暗い男になったかもな
逆に 軽口度合は増したかもしれない
悲しかったさ 忘れたかったのさ

その後
何度か会ったよね 輪廻して
ブロック塀の上で こけたりしてたね

君はずっと 可愛かった

僕はずっと 泣きたかった

そして
俺の見守る中で
無理に笑みを作りながら
冷たくなっていく
俺といて幸せだったか?
俺のこと覚えているか?
俺のことを許してくれるか?
俺にもう一度笑って見せてくれるか?

君の葬儀の時、親戚の叔母さんに怒られたんだ。
「あんた、なんで泣かへんの。信じられん男やね!」って
凄く悔しい あんたに何がわかるんだ
凄く苦しい なんで涙出ないんだ

とても 苦しい
君が死んだことより
もっと
かつて君を
諦めたことが





おやすみなさい

制限ありすぎな答えの出し方が出来て
言葉で遊ぶだけが面白いから 「死んでいいよ お仕置きしちゃえば 消せよ」
そして自分で全部出来ちゃう

飲み物を用意して ケーキを差し出して テーブル拭くの忘れてる あぁそう
自分で食べられる 飲める あなたにすることはもう何も無い あぁおなかいっぱい

でもあなたといる時にだけしか低い方の声は出せなくて
低い方の声では感情を話すことができる 言葉は出なかったけれど
あなた以外の人といるとき あなたの舌が無いといつもの私のまま
そう 私には語る舌などない

若い幼い知らない私をだんだん埋めていき
元からあるシートは剥がせないから 「ごめんなさい すいません もうしません 飽きた」
それもいつの間にか忘れちゃう

肘つかないでよ もっと顔あげてこっち 手が止まってるんだけど うるさい
あなたが教えてくれる 愛してる 私は上手に教え込みたい あぁわかってるから

あなた以外には幼稚園児みたいな跳んだ声じゃないと 低い方の声は許されない
純愛なんか白くて何もなくて でもそれが乱された時 あなたの側に行って私は声をあげたくなる
あなたに大きい方の声で話してみたくなる 感情で話すことができる大きい声で
それは残酷 それは蹉跌 それは堕落 自意識過剰ですか あぁそう

離れる 電話が切れる あなたがいなくなる
いつも私はわがままを抑えて混乱しながら あなたがうつった写真を伏せる
そしてまた今日もゆっくりおやすみなさい





否定待ち

恋は幸福を殺し
幸福は恋を殺す