桃尻生活




 あの夜 君はどうしてたんだろう
 何してたんだろう と
 考えたくもない のに
 回る
 回る
 ぐるぐる回る

 この疑問には
 疑問符が付かないんだ
 と
 根拠もないのに
 自信はあって
 そんなことを考えながら
  明かりを全部消して
  ベッドの中
   気付けばいつものポージング
     もう 全然別のことを考えている
       この暗闇は
       フィルムには写らないだろう
          この声は
          集音マイクでも拾えないだろう

            携帯でロジックパズルを解きながら
                   眠くなるのを待っている
                    あるいは
                      待っているのは
                       別の何かだろうか
                    何を
                     待っているんだろう
                       でも   ほら
                          もう
                            こんなにも
                                    眠い
                                       ああ
                                         消えてしまう
                                       煙みたいに
                                         湯気みたいに
                            消えてしまえるだろうか
                                   眠りに付く直前
                                        何を思う
                                     意識がなくなる直前
                                          何を
                                            思う


- - - -

「ねずみのキスって大変そう。前歯が邪魔でさ。
 あれって、放っておくと下顎突き破っちゃうんでしょ?
 だから常に何かを齧って歯を削ってるって、誰かが言ってた。
 ねずみも、キスしたいんだろうな。
 でも、もしかしたら、前歯が邪魔だからキスをしたいのかな?
 もしねずみが出っ歯じゃなかったら、もっと住みやすい世の中になってたかもね」

「チュウ、チュチュウ!(ちげぇよバーカ)」


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 メガネは僕に含まれるか。

 別に、
 メガネのレンズを見ていただけであって
 君を見てたわけじゃないんだよ。

 断じて
 違う
 はず


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 瞳を閉じて つらら泣き
 涙と鼻水 隠し味
 映画を見たらば もらい泣き
 塩分過多か アレルギー


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 また、夜を殺して朝が来る。

 朝に殺されるのを知っていながら、
 それでも夜は
 やって来てくれる。

 頑張らないと。


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 静かな夜はいつだって誰かを泣かせている。
 カーテンの向こうがかすかに白ばみ、じわじわと今夜が今朝に侵されていく。
 夜は抵抗しない。だのにこの朝の暴力的なこと。
 何を焦っているんだろう?

 昨夜、僕は泣かなかった。
 昨夜の空気は誰を泣かせたろう。
 君でなけりゃいいなと思う。


- - - -

 君で泣けりゃいいなと思う。


- - - -

 足りないのはいつだって俺の方だった。

 ただ
 俺は別に
 足りなくたって良かったんだよ。


- - - -

 昨日夜更かししていたから、今日は少し胃が重い。
 いつもより少し空いている車内、揺れる。
 一限目はなんだっけ?
 ああ、それなら遅刻も大丈夫っぽい。
 っぽい。

 座席空いてても座らない。
 向かいに立ってるお姉さんにドキドキしてるから。
 お姉さん降りても座らない。
 あっちの方に立ってる人いるから。

 朝だ、朝だと言い聞かす。
 にやりと笑う。不敵な笑みだ。
 不埒な笑みだ。
 こんな俺を誰か盗撮してほしい。


- - - -

 メガネを外して信号機を見上げる。
 ぼんやりと発光ダイオードのことを考える。
 通りを行く人の顔が背景と同化する。
 隠れ身の術だろうか。

 ぼやけた視界は、自分に優しい。
 軟弱な自分には都合が良い。
 ガラス瓶の向こうに見える歪んだ景色が真実なのではなく、
 ガラス瓶の内部に浮かんでいるものこそが、真実なのだと。

 見えているのに、見えていない。
 ただ向こう側が見えるだけ。
 それで真実に触れたと勘違いする。
 少し、気持ちがいい。


- - - -

 雪がこんこん白くって
 空気がちくちく痛くって
 横断歩道の白いところに
 少し残った雪だか氷だか

 世界が終わる夜が過ぎて
 長靴を履いた悪魔と踊る
 クルリと華麗にジャクソンばりの
 ターンを決めたら大往生


- - - -

 猫は 暗闇の中で何かを見つけるのが上手い
 ただ 猫は
 そんなもの探しちゃいない
 と思う


- - - -

勘違いする俺
楽しそう

低い融点
気持ち良さそう

人の体温は
人肌だから
俺も誰かにとっての
人肌であればいいなと
思うのでした

ラジオ体操
ちょっとだけしたい

北陽のちっちゃい方
結婚したい

自分のAI作って
観察日記

逆に
付けられてる
気分

デジャ・ビュ
多い


可愛い

可愛い
好き

透けたい
見えたい
感じたい

背番号は
緑の3番

幽霊
いない
UFO
ない
タイムマシン
できない
腹筋
割れない

でも
楽しい