シ リ ー ズ ア ラ イ グ マ



 今までの、人生、っていうか、そういうもんの中で、一番輝いていた、一番幸せだったっていう自負がある期間が、「からっぽだった」の一言で形容されてしまった。
 きっとこれから、おいらの名前は、新しい幸せな思い出で上書きされていくんだろう。
 10年も経てば、名前だってロクに思い出せやしないのかもしれない。
 
 時間がどうにも酷すぎて、
 自分だけが取り残されてしまった。
 

偶然 こぼれた涙を見てしまった
夕べ 見たくはなかった
急に言葉が無力になってしまった
流星ひとすじ夜空に

羽根の生えた人たちは 遠に飛び去ってしまった
星になれた 綺麗な もう触れはしないよ

だけど今も 空で 羽根を開いてるような
(ゆらゆら帝国/星になれた)


 「人に優しくありたいなら、本音を言うな」
 その忠告を未だに受け入れられずに居る。
 耳を塞いで首を振って、イヤイヤしている。
 反発したって、無意味で、無様で、
 口にしてから後悔するけど、言葉が返ってきてくれない。
 
 ふいに、正体を、知ってしまった。
 知りたくはなかった。

 からっぽになる。
 夢を見ていた。


急に心が浮力を持ってしまった
流星 ひとつ 消えた


(BGM:ゆらゆら帝国/星になれた)