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3月15日(Mon)

「ご機嫌斜め?」
「なんか顔暗いから」
「ちゃんと笑ってすごさなー」
女の子ってやつは、僕と同い年でも僕より年上なのです。
ちゃんと大人なんです。
ついでにアメリカ人なんだ。
大人は平気な顔して何だってやってのけちゃうんだよ。
でもね、
ガキだってその気になりゃあ、な。
「ん?なんで?」
「まじっすか;」
「ふいー」

僕が死んだって噂をね、流してほしいの。
そんでしばらくしたらポポイ星の民族服なんか着て帰って来る。
もちろん瞬間移動も覚えてくる。
シンクロ率なんか1000%超えちゃってさ。
満月見なくても変身できるの。
掌から出る微量な電流で直接記憶を操作することもできちゃう。
そしてゴム人間。
では、とりあえず重力20倍の宇宙船でさようなら。

飽いたらポイ
愛想尽きたらポイ
まあそこまで言うんなら次までは燃えとくことを許可してやろっか
あ、こっちの方が!ポイ

ポイされた方 あーれー
それも聞こえてない
もう覚えてないぴょん
あっちので埋まっちゃったぴょん

次のに火ィ付けて
胸一杯に吸い込んで
奥歯噛み砕け
女医さんに治療して貰えるかも

ああ
火傷するぜ
俺が




3月14日(Sun)

 シ リ ー ズ ア ラ イ グ マ

 「人にはそれぞれ事情がある。ってことを、本当に、知ってほしいんだよね。つーかずるいんだよほんと、語った奴ばかりがワッショイされちゃってさ。何も言うべきじゃないと黙ってたら何も考えてないと思われて。自分が正しいと思ったことを曲げるつもりはないけど、ちょっと自信なくなるよね。結局、言っちゃった奴が得をしちゃう。まあ当たり前なんだけどさ、言葉にするってのが一番分かりやすいんだから。曲げた意思を、それを悟らせずに伝える一番の方法でもあるのにね。自分以外のことは理解できないって、そりゃもう、言うまでもなく事実なわけじゃない?いや、そんな厭世とか関係無しにさ、だって事実なんだもん、しょうがないよ。理解はできないさ。でも、理解しようとすることはできる。問題があるとすれば、そういうことなんじゃないかな?初めにこの命題を思い付いた人に、たまたま上手い語彙が浮かばなかったんだよ、きっと。義務教育でなまじ国語の成績が良かったから、ちょっと自身つけちゃったんだろうね。」

「とにかく、他人を完全に理解することはできない。こんなことあえて口にするのもオコガマシイよ。知ってるもんだと思ってた。加地さんも言ってただろ?彼女っていうのは"遥か彼方の女"って書くんだ、ってね。だから、だからこそ、他人の事情なんか解るわけがないんだ。あんただって、ほとんど何も知っちゃいない相手に解ったような顔して励まされたかないだろ?言葉にして伝えたところで、理解には遠く及ばない。あんたは彼じゃないし、僕は君ではない。だからね、何が言いたいかって言うと、人にはそれぞれ事情があるんだ。あんたには他人の事情は見えない。誰にも見えないよ、でもそれは確かに在る。わかるだろ?あんたにも事情がある。解ったような顔されたくない、そういう事情が。世にはこびるドキュン達はさ、『こんなきっつい事情は僕だけのもんなんだ僕だけこんな特別なことしちゃってるんだうわぁすっげえなぁってマジ?あんたも?すっげーなあんたも僕に比べても引けを取らないんじゃない?いやーそれにしても僕達すげーなー』とか思いがちなんだけれど、あんたはそうじゃないはずだ。人の事情は本人にしか解らない。それは本人の決めることだから。」

「つまり、僕はね、さっきこの檻の前を通ったドキュンカップルがしてたような話を耳にすると、てめぇ知ってんのかよ、そこ歩いてるよれたスーツの中年男に、何も考えてないような無気力学生に、楽しそうに笑いながら見上げてる女の子に、人にどういう事情があんのかてめぇは知っててそれでご立派に上下を比べて判断してくれてんのかよ、あぁ?って、思わず撲殺したくなっちゃうんだよね。具体的に言うと、みぞおちからヘソまで一直線に腹かっさばいて中身を青いポリバケツにぶちまけて、顎を外してそこにバケツの中身を詰め込みながら全部の関節を死なない程度に逆に曲げて、両手両足を大型シュレッダーでじわじわとミンチにしながら頭の頂点から皮を剥いで、色々やった挙句に最後に首を折って終了、ってやりたくなっちゃう。まあ脳内でしかやらないよ、僕そういうの好きじゃないし。とにかくね、言いたいのは、人にはそれぞれ事情があるってこと、それなんだよ。わかるよね?おじさんにも事情があるんでしょう?わかりゃしないよ。でも、事情があるってことを認めることならできる。ね?」

 そこまで言うと、僕は檻の前で悲しい顔をして屈んでいる、紺のツナギを着た用務員のおじさんを見上げた。相変わらず物悲しい顔をしている。飼ってるハムスターが死んじゃった、みたいな顔だと思った。しばらく経ってもおじさんは何も話そうとしないから、痺れを切らして僕は仕方無しに謝ることに決めた。

 「だからごめんって。カップルにアイスをぶつけたことは謝る。悪かった。でも元はと言えば、あのカップルがあんな話をしてるから、それに、ここがアライグマの檻だと知ってて食いかけのソフトクリームなんか渡したりするから悪いんだ。むしろあれだけで済んだことを誉めてほしいくらいだよ。そうでしょ?もしこれが僕じゃなくてサーベルタイガーとかラプトルだったら、もっと酷いことになってたはずさ。」

 いくら頭の良いって言われているラプトルだって、カップルにソフトクリームをぶつけるような真似はしないと思うけどね。要は説得力の罪悪さ。比べないとどうしようもない、ってそれぐらい解ってる。天秤にかけて思いっきり傾けさせないと、安定得られないし安心できない。ただ、それを外側に出すなって言ってんの。アイスぶつけちゃうぞー。




3月11日(Thu)

一年前の日記を読んでみた。後悔。
あのあたり、すっごい悩んだり毒吐いたりもしてたらしい。
今、あの頃は人生で一番幸せだったって記憶しかない。
一年後、またこう思えたらいいなと思う。

頑張れるかもしれねーや。
一瞬、ふとした時に「あ、大丈夫かも」って思うこともある。
2秒で戻るけど。
これを、少しずつでも長くしていけばいいんだ。きっと。

歯医者に行った。今日は歯石取り。
いつもと違う部屋に案内されて、女性歯科医師とマンツーマンで。
すっげーどきどきしたよ。
なんにも変わってない。未だに女の人が苦手です。

酒を呑む約束を取りつけた。
2chに癒され励まされた。
俺もお前ら大好きだよ!
また頑張れればそれでいい。
結果オーライじゃなくても別にいい。

今、何をしてますか?日記読んでる場合か?
十年後、きっとあなたは十年前の自分を思い返して、色々考える。
十年前の自分に戻ってどうにかしたいと思いますよ、きっと。
今、どうにかしてください。未来を。
十年後か、二十年後か、五十年後から戻ってきたんですよ、今。




3月11日(Thu)

 徹カラ行って、そのままバイト行ったりしてた。どうでもいいけど、日記を縮小しようかと。って何度言ったことか。これはね、やっぱり良くねぇよ。良くない。カウンタも外すべきやな。そのうち復活するって。でなきゃ困る。

 色々ありましたー。遠い目で。赤い目で。人生何度目かのピークを迎えて。ここにゃ中身は何も書いてないよ。成績が知りたい人は先生に聞きなさい。

 ただ、当たり前になってたことが全部凍りつくのが怖くて寂しかった。突きつけられた"のっぴきならない"現実には、一見選択肢があるようで実はないことがある。本当は選択肢なんかないのに、わざと自分で新しい虚像の選択肢を作り出して、そこに必死になってしがみついてるような気分になってしまう。残されたものがどれだけしんどくて辛いものでも、それを受け入れなければならない状況がある。自分で「今はそうじゃない、今はそうじゃない」と暗示をかけるように呟いている。思えば今までずっとそうだったのかも。ただ、暗示が成功したことはないし、しかしそれでも気付いたら自然に受け入れてた。都合の良い俺の理屈に言わせると、「今まではその程度のことだった」からと納得。都合のいい俺の理屈が、「やべぇぞこれはシャレになんねぇいきなり人生のラスボス出て来やがった」と喚き慌てふためいている。暗示は続いている。なんとかしなきゃ、なんとかしなきゃ。僕は元気です。




3月9日(Tue)

 シ リ ー ズ ア ラ イ グ マ

 自慢じゃないけれど、初体験は15の夏だった。いや、自慢になるのか。この話を聞いた友人は皆口を揃えて「いーなー」と言った。だって、友人はみんな、後からそれを知った人たちばかりでもちろん当事者でもなけりゃ傍観者ですらない。聞き耳立ててる野次馬だ。野次馬は総じて「いーなー」か、「ふーん」か、「死ね!」しか言わないんだよ。いや、本当に。でもまあみんなそうだよね。修飾語とかがいっぱい付いてるだけでさ。

 中三の夏は受験勉強真っ只中ってイメージがあるけれど、実際にはそんな中学三年生は露ほども居ない。開放感と少しの焦燥の中遊びまくってたね。でも、中三の「遊びまくってた」なんてたかが知れていて、やれ悪友の家で煙草を覚えただの、やれ20キロも離れたオモチャ屋に自転車で汗だくになりながらプラモデルを買いに行っただの、やれロケット花火の中身をレンガの上に穿り出してお灸の形に整えて火柱を上げてみただの、かなり狭い世界でかなり無茶をしまくっていた。電車に乗ることもできたけれど、移動するのにお金が掛かるなんて効率の悪い方法をどこの中三が採用するって?幸か不幸か、僕の町には自転車で移動できる距離にたいていのものがあった。あの狭い限られた世界の外側が第三次世界大戦で燃え尽きたって、僕らは相変わらず狭い世界で新しい興奮を探して自転車を飛ばしてたろうと思う。そういう時代が、確かにあった。

 初体験のことはよく覚えていない。と、自分に言い聞かせている。たまに思い出して一人Hもするけどね。それだけ。あの人は7つ年上で、大学生らしかった。何階生かは知らない。正直なところ、ほんとよく覚えちゃいないんだよ。セミロングの髪がくすぐったかったことと、すごくいい匂いがしたことと、驚くほど気持ちよかったことと、あとなにかな、ピアス穴が三つ開いていた。右耳に二つ、左に一つ。僕なんか名前も聞いたことのないようなビジュアル系のバンドが好きって言ってたっけ。ほら、よくあるじゃん、柩とか、レクイエムとか、そんな感じの。そのときまでビジュアル系好きの女=怖いってイメージがあったんだけど、全然普通で髪なんか真っ黒で逆に面食らったのを覚えている。そういう下らないことはよく覚えてるんだよ。でも、肝心なところは靄が掛かって分からない。顔さえ思い出せないんだ。まあ、そんなに詳しく話したくもないしね。出会って、駅のトイレでして、そんでバイバイ。あんまりこのへんは聞いて欲しくないな。それっきりさ。中三なんだよ、携帯なんか持っちゃいない。

 やっぱりさすがに男といっても、こっちとしちゃ軽い出来事じゃなかったしね、探しちゃうもんなんだよ。交差点、夢の中、向かいのホーム、路地裏の窓、明け方の街、急行待ちの踏み切りあたり、旅先の店、新聞の隅。見つかるわけないんだよね。ただ、そうすることが自然で、当然の義務みたいに感じてた。恋じゃなかった。そして今、




3月9日(Tue)

 最近特にそうだけど、これってもう完全に日記じゃないよね。ハッピーバースデー僕。ポジティブアンハッピー・アルコールラーク。

 あんまり穏やかな話でもないけど、ここんとこちょっとやさぐれてて、外に出てるけど引き篭もりみたいな感じになってる。春休みってこんなにもやることなかったっけか?「ポジティブ シンキング!(ペルソナ2 罪)」こういうときは映画を見るんだ。ツタヤ行ってみよう。

 winnyでスピッツベスト落として聞いてみたり。スピッツは、優しいブルーハーツを目指してたんだって福井が言ってた。聞いた時は「はぁ?嘘やんー」って言った。僕はそのときメロコア・パンクばっか聞き倒してたから、あんな奇麗ごとばっかの歌とか嫌いで、絶対聞くことなんてないと思ってた。けれど、今はちょっと信じかけている。でも優しくねぇしよコレ。題名なんか『涙がキラリ☆』とか『空も飛べるはず』だしさ。優しくない。スピッツは、盲目なのか、それとも本当に強いのか。どっちつかずのおいらよりは強い。だから弱い僕はそのまんまに生きましょう。さんまのまんま。

 「きっと 未来の俺の奥さんの次に大好き」 自分が心から「これは名言!」と思える言葉ってのは、やっぱ自分の中から出るもんなんだ。自分の経験は自分のもんなんだから。借り物の言葉なんかじゃない、大切なのは感情で話すことじゃなくて感情を話すこと。今はまだ自分の愚かさとか駄目なとことか劣ってるとことか、そういったもんが見えてこないから、マイナスの感情がないといえば嘘になるけど、いつかきっとプラスの感情溢れる生暖かい目をできるときが来ると思うから、ていうかそうしないと本当に駄目なんだから、人間は二足歩行で前に進めるんだから、向上心のない奴は馬鹿なんだから、ハンバーガーだってベーコンチーズダブルバーガーだって作れるんだから、俺はきっと大丈夫。でも今は不本意なことに大丈夫じゃないから、猫背ですっごい重いもんとか引っ張りながら、勝ち目がないどころか勝負にすらならないってことを認めつつ、それでも無様に足掻いてみようかと思うわけですよ。意外と短期決着かも知れないし、気球大陸横断レースより時間が掛かるかも知れないし、別に予定なんてないし、他に何にもないから、もう精一杯じゃなくて命一杯に食らわしてやろうと。次の場所に移ったなら、そのときはツーカーのポケットティッシュよりも明るい顔して馬鹿笑いしながら発泡酒飲んでやる。発泡酒のためなら命だって賭けられる。

 最後に日記。マクドで、運輸トラックで届いた資材の搬入してたら、小指の根元を切った。意外と深く。今も冷凍庫のナゲットの箱の上面で乾きながら変色していってるであろう俺の血は、世の中を変えるだろうか。どうもさっきから、あのダンボールに落ちた血の中に自分の核とでも言うべきものが含まれていた気がする。だってこんなにやる気が起きない。ツタヤに行く気も起きない。




3月8日(Mon)

 六日と七日は鬼のように過ぎ去っていったのでした。つーか二日間朝飯しか食ってないっていう。しかもマクドの従業員控え室で。ほんとすごかった。まあ簡単に言うと、バイトして演劇見て酒呑んで爆笑して寝て起きてバイトしてマクド社員さんの家で酒呑まされて潰されて朝帰り、書いちゃうとそれだけのことなんだけど。ほんともう、どんな表情してたらいいのかわからないんですよね。素面でなんかいられない。なんかよくわかんなくなっちゃったときは勝手に口角が上がるって、あれ、本当だぜ。口なんかないけどさ。

 シリーズアライグマ

 まだ終わったわけじゃない。僕はアライグマになったけれど、まだ終わらせはしない。必ず負ける。でも、だから必死でしがみつくのさ。負けることは問題じゃない。ただ、負けることが死に繋がらないことがこれ以上ない問題。

 飼育員からフォークをくすねた。僕はそのフォークを使ってこの檻から脱走する計画を企てた。計画といってもなんのことはなくて、ただひたすらに掘るだけ。壁だって地球の中心まで続いてるわけじゃないからね。夜中はひたすらに掘りつづけた。そして太陽が昇る頃眠りにつくわけだから、動物園としては勤務怠慢もいいとこだろう。掘り出して二日目に、自分に鋭い爪があるんだからフォークなんか手に入れる必要はなかったと気付いた。それでもムキになってフォークでひたすら掘りつづけた。三日目にフォークが折れた。手で掘った。五日目に飽きた。いつかコンクリートにぶち当たることぐらい、いくらアライグマだからって僕にもわかってたさ。ファッキュー。

 まだ終わったわけじゃない。僕は諦めが悪いんだ。飽きっぽいけど。なんとかしてこの壁の向こう側に行かないと。次の場所に進まないと。いつまでもこんなところでアライグマやってるわけにはいかない。ここは、色々考えすぎる。馬鹿になっちまうよ、まったく。




3月5日(Fri)

カワバタたんが合格しましたよ!もまえら祝えー。

 シリーズアライグマ

 電車を待つ時間が好きだった。反対側のホームの景色が好きだった。こっち側、むこう側。二本の線路で仕切られた二つの陸地の間に、それ以上の結界のようなものを感じていた。まるで、鏡の向こうに別の世界が透けて見えてしまったような、100年後の世界を見ているような。そんな居心地の悪さと、こっち側の世界の平和加減と、眠気と、目的地での予定とが混ざり合って、なんとも言えない空気を作っていた。

 僕が電車を使うのは高校に入ってからのことだった。だいたいは反対側のホームを見つめていた気がする。人間ウォッチング、って言うんだろうか、そんな上等なもんじゃないんだけど、僕は興味津々に反対ホームを観察し続けた。笑う人、寝る人、話す人、座る人、無表情な人、眺める人、考え込む人。そのとき、百人百様なんて嘘っぱちだと気付いた。

 僕が数年ぶりに彼女を見つけたのは、そんな観察の日々の中で全くもって偶然だった。始め、彼女はベンチに深く座り込んで、自分の左膝と右膝の中心を見極めようとしているように見えた。声をかけようかとも思ったけれど、なにしろ向こうは100年後の世界なんだよ。五分後とは違う、そう簡単には行かない。僕は、せめて彼女が顔を上げてくれれば、と思った。反対ホームに急行が来た。身じろぎもしない彼女を置いたまま発車した。こっち側のホームに快速が来た。乗り込んだ僕の後ろで自動ドアが閉まる。彼女は最後まで顔を上げなかった。ドアに身体を半分預けた姿勢で彼女を眺めながら、まるで世の中に「おまえがいなくたって大丈夫だぜ」と言われたような気分になった。

プラットホーム隅っこで お前は一人で泣いていた
誰にも気付かれないように 誰にも見つからないように

流した涙は何なのか 騙し騙した自分なのか
人を傷つけた罪なのか 悲しみ背負った罰なのか

今も昔もこれでいいかと 問い詰めてるのに 色褪せていく
日々また強く生きて行こうと 何度思えば 気が済むのだろう

(ジャパハリネット/蹴り上げた坂道)


 目的地である待ち合わせの駅に着いた僕は、まだ反対側のホームのことを考えていた。というより、そのことで頭が一杯だった溢れ返りそうだった。上着のポケットで、携帯がメールを受信して震えた。ディスプレイを見つめたまましばらくの思考停止。戻りのホームで、列車到着のアナウンスが鳴る。動き出すには、十分な条件だった。

 ついさっき眺めていた反対側のホームのベンチで、僕は同じような姿勢をとりながら泣いてみることに挑戦した。でもこういうときに限って泣く理由なんて見当たらないもので。いつもそうだった。顔を上げると、向かいには見慣れないホームが冷たく起立していた。第一、そこには僕がいない。

 もう時間だった。遅刻に遅刻で返すわけにはいかない。「そのへんぶらぶらしてるからゆっくりどうぞー」というメールを打って、ベンチから腰を上げた。足元でうまい棒の空き袋が踊っていた。拾い上げて、彼女の座っていたベンチに乗せてみる。『檸檬』のようにうまくは行かなかったけれど、それで納得する他なかった。うまい棒の袋が爆発して、100年後の世界をぶち壊してくれる。

「お前は本当にダメだった 何も解らないフリしてた」
「やがて訪れる失敗に お前は今さら気付いてた」


(BGM:ジャパハリネット/蹴り上げた坂道)


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注釈:
 五分後の世界(村上龍)
 檸檬(梶井基次郎)





3月2日(Tue)

 テストも終わって三年生も終わって、ボーリング行ってきた。前にも言った通り、僕はボーリングに嫌われているので(あるいはボーリングのこと嫌いだから嫌われているので)スコア50くらいだったんですよね。それが77にまで成長。大きくなったもんだ。もう行かないけど。

 去年のこの時期っていったら、そりゃもう最高潮に盛り上がってたんだろうけど、だからなのか今年はダメ。ダメな年。精神的に参ってると身体も参るっていう教訓に激しく頷きながら、明日からやることなく、部屋も片付けず。元々、春ってだめなんですよ。自分が萎んでいく感覚ってわかるかな。表面積が圧迫されて萎んでくの。胃から喉にかけて餅みたいな塊が込み上げてくると同時に、食道をよくわからん何かがつっかえつっかえ通り過ぎようとしてる。あーどうでもいい。って思いたいもんだ。