3月21日(木)
---あらすじ---
スルメ男爵の手によって、合成人間にされてしまったひろのりこと仮面ヒロダー。己の身体に起こった変化に戸惑ったひろのりは研究所からの脱出を試みるが、スルメ男爵直属の部下である謎のセーラー服美少女戦士ユミ・アダチに発見される。しかし、ユミの投げた卍手裏剣が刺さったのはひろのりではなくスルメ男爵の眉間だった。
「むぐぅ・・・なぜだユミ。なぜワシを・・・」
スルメ男爵が眉間の手裏剣を引き抜きながら言った。傷口からスルメが溢れている。さすがスルメ男爵。
「あなたは父の仇。それで説明は充分でしょう?」
ユミが冷たく返した。
「そうか・・・あの男の娘が・・・。ガクッ」
スルメ男爵が力尽きた。辺りにスルメ臭が漂う。
「早くこっちへ!この研究所は爆発するわッ!」
「えぇ?!」
なにが起こっているのか良く理解できないひろのり。俺にも良く判らない。
とにかく、ユミの後ろを付いて走った。そうすればこの研究所から出られるらしい。しかし―――
「しまった!ひろのり、戻って!」
前方には大量のショッカー軍団。引き返そうとするとすぐ後ろにもショッカーが。イーッ!
「―――囲まれた、か」
ユミが爪を噛みながら呟く。
「むけけけけ。おみゃーらはもう袋の鼠だあ。むーけけけけ」
なんだかボス格の足がワラワラ生えた良く判らない生き物が声高々に笑っている。とても笑い難そうな笑い声だ。
もうこのときには、ひろのりの心は決まっていた。とりあえずワラワラの足が笑う毎に動いて気持ち悪いのでこいつを倒す、と。ひろのりは虫が嫌いだった。
「ユミさん。先に行ってください。僕はコイツらを片付けてからすぐに追いかけます」
「何を言うのひろのり!私も手伝うわッ」
慌てた様子でユミが振り返る。
「すいませんユミさん。・・・オクルーラ!(ロトの紋章)」
もう何がなんだかわかんない。とにかくユミの身体が光に包まれて消え失せた。そういうことにしとこう。
「イーッ!イイーッ!!(貴様、なにをした?!く・・・只者ではないな!)」
ショッカーを無視してひろのりは先程までユミがいた空間に向かって呟いた。
「僕等の時代に無事に、2120年に帰れたら・・・そのときは結婚してください」
何を言ってるんだひろのり。そしてそれがひろのりの、101回目のプロポーズでもあった。そういえば今日はキンパチ先生のスペシャルだ。見ないけど。ぼかあ死にましぇん。そして歯車は狂いだした―――
つづく